
企業にとって最適な人材を見極め、応募者に企業理解を深めてもらいながら、入社意欲も高めていく採用面接。その成功のために大切な要素は様々ありますが、やはり何と言っても要は質問内容です。面接担当者が質問事項を準備している段階で、人材確保の精度に大きな差がついています!そこで今回は「採用面接時の有効質問&NG質問」をまとめました。ぜひご活用ください。
重要!有効質問のための心がまえ
具体的な質問事例に入る前に、まず大切なのは心がまえです。念入りに準備した質問の内容がいくら素晴らしくても、採用面接の大前提は「面接官と応募者のコミュニケーション」なので、そもそもの心がまえがしっかりしていないと意味がありません。準備した質問事項を最大限に活かして採用面接の質を高めるため、「5つの心がまえ」を意識しましょう。
1.リラックスできる雰囲気づくり
応募者は、採用面接の場で高く評価されたいと思うあまり、どうしても緊張します。緊張することで本来の能力や魅力を出せないまま面接終了となってしまっては、企業にも応募者にも非常にもったいないことです。
そこで面接官は、「話しやすい雰囲気は面接官がつくるもの」と心がけます。応募者がリラックスして本来の姿で向き合える雰囲気づくりを目指しましょう。
2.しっかりと傾聴
リラックスできる雰囲気づくりにもつながりますが、応募者の話をしっかりと傾聴する姿勢は非常に重要です。具体的には、「柔らかな笑顔」「適度なうなづき・相槌」「話の内容を要約して返す」などが挙げられます。
「話の内容を要約して返す」というのは、「○○が大変だったんですね」「それはつまり○○ということですね?」というような返し方です。そうすることで、応募者の話をしっかりと聴いていることが伝わります。
3.どんな発言でも深堀り
表面的なやりとりでは、採用の判断ができません。だからこそ、どんな発言でも常に深堀りしていくことを意識しましょう。「それはなぜですか?」「具体的に教えてもらえますか?」と深めていくことで、応募者の本来の能力や魅力、可能性が明確になっていきます。
また、それと同時に、話の誇張やねつ造を見抜くことにもつながります。もしも面接官に現場スタッフがいる場合は、業務について専門的に深堀りしてみてもいいかもしれません。
決してあら探しをするような聞き方ではなく、本来の能力・魅力を引き出そうとする気持ちが伝われば、積極的に深堀りしても好印象をもってもらえます。
4.積極的に良いところ探し
採用面接は、応募者のマイナス面が気になりがちです。いつのまにか、「採用するための面接」ではなく、「不採用にするための面接」になっている場面が多くあります。もちろん応募者の課題やマイナス面を把握することも大切ですが、それよりも優先したいのは、「良いところを探して着目する」ことです。
マイナス面ばかりを追いかけると、せっかく活躍できるはずの人材を見逃してしまいます。良いところ探しを優先しましょう。
5.根本的な軸に着目
誰にでも、思考や行動には「根本的な軸」があります。その軸を把握することが、見極めの大きなポイントです。これまでの苦労した話や挑戦した話、壁を乗り越えた話など、それぞれの過去エピソードをもとに、応募者の思考・行動の根本的な軸を考察していきましょう。
質問の目的を明確に!有効質問の具体例
会社の社風や業務内容に適した人材であるかどうか、活躍してもらえる人材であるかどうかを的確に見極めるため、面接担当者・採用関係者で事前に「評価基準の共有」を行いますが、その基準に対しての判断材料となる質問事項を準備します。
つまりは、「評価基準に合わせて、判断したい目的ごとに質問をしていく」ということです。それでは具体的に解説していきます。
仕事観
「志望動機」に関する質問で、応募者の「仕事観」を確かめます。「応募の理由」だけでなく、「自社で働くことで期待していること」や「将来的にどんなキャリアを積んでいきたいのか」、そして「他に志望している企業」についても確認していきます。
しっかりと深堀りすることで、入社後のミスマッチ防止にもつながります。
質問の具体例
- 当社を志望された理由を教えてもらえますか?
- 当社についてどのようなイメージをお持ちですか?
- 会社選びで何を重視されていますか?
- これまでの仕事で達成感を感じたエピソードを教えてもらえますか?
- 仕事の中で、モチベーションを高めるものは何ですか?モチベーションを下げるものも教えてもらえますか?
- 当社に期待していることを教えてもらえますか?
- どのような目的を達成したいですか?
- 将来的にこうなっていたいという理想の姿はありますか?
- 他にどのような企業に応募されていますか?
人間性・コミュニケーション能力
「人間性」「性格」は見えにくいもので、履歴書や職務経歴書から判断することは非常に困難です。そのため、採用面接時に掘り下げて確認していきます。
たとえスキルを満たしていたとしても、社風や他の社員と合いそうかどうかを見極めなければなりません。
質問の具体例
- 強みは何ですか? そして、当社の仕事のどういったところに活かせていけそうですか?
- どんな性格だと言われることが多いですか?
- ご自身で改善すべき課題と感じていらっしゃることを教えてもらえますか? また、課題克服のために心がけていること、実践していることはありますか?
- これまでの職場でストレスに感じたことを教えてもらえますか?
- 一緒に働く上で、苦手なタイプはどんな人ですか?
- 上司や同僚とのコミュニケーションで大切なことは何だと思いますか?
- 個人とチームは、どちらで業務を進める方が得意ですか?
職務適性
「過去の経験・エピソード」に関する質問で、「職務適性」を見極めます。「事実の確認」はもちろん、「その事実にまつわるエピソード」も大切です。
質問の具体例
- どのような業務を担当されていましたか?
- 仕事で工夫されていたことを教えてください。
- ○○の知識はありますか?○○の経験は何年ほどありますか?
- ご自身の経験や知識を当社でどのように活かせていけそうですか?
- どのように協力しながら仕事を進めていましたか?
- 最も努力なさってきたことについて、エピソードも含めて具体的に教えてもらえますか?
- どのような目標をもっていましたか?
ストレス耐性
「挫折の経験」「乗り越えた経験」を通じて、「ストレス耐性」も備わっていきます。大変なときでも前向きに進める人材かどうか、踏ん張りがきく人材かどうかを見極めます。
対人関係や難しい業務課題への取り組み方で、課題解決力・セルフマネジメント力も把握できます。
また、入社後のサポートにも役立てられる質問です。
質問の具体例
- 挫折の経験を教えてもらえますか?どうやって乗り越えましたか?
- これまでに直面した難題を教えてください。どのように解決しましたか?
- 業務中に怒りを感じたことはありますか?どんな場面でしたか?
- どんなときにストレスを感じますか?また、どのようにストレスを発散していますか?
定着率
これまでの「退職理由」を確認します。応募者にとって本音は出しづらい質問内容ですが、表面的なやりとりで終わらないように掘り下げていきます。退職理由を会社や他人のせいにしている傾向が見受けられた場合は要注意です。
質問の具体例
- 退職のきっかけを教えてもらえますか?何が決め手になりましたか?
- なぜ転職を考えられたのですか?
- 応募いただいた仕事との違いはどのような点にあると思いますか?
- 退職後のブランクの理由を教えてもらえますか?
逆質問
自社への理解度や入社意欲を最終確認するためにも、「逆質問」は有効です。
丁寧な回答で、入社意欲の向上にもつなげましょう。
質問の具体例
- 最後に何か質問はありませんか?
- 色々と伺いましたが、何か補足されておきたいことはありませんか?
- 今までの内容と重複してもかまいませんので、最後にご自身のセールスポイントを聞かせてもらえますか?
要注意!NG質問&NG行動
面接官としてやってはいけないことがあります。
NG質問やNG行動をしないために意識しておくべきことは大きく2つ。
「応募者の基本的人権を尊重すること」と「適性と能力のみを選考基準にすること」です。
必死になるあまりに質問してしまう、気づかぬうちにやってしまうもすべてNGなので、絶対にやめましょう。法律違反になる恐れもあります。
NG質問
- 本籍や出生地に関すること
- 家族の職業や収入などに関すること
- 恋人の有無に関すること
- 住宅状況に関すること
- 宗教に関すること
- 支持政党に関すること
- 購読新聞や愛読書に関すること
NG行動
- 準備不足かつ応募者に見抜かれている
- 会話のキャッチボールになっていない
- 面接官からの説明を何もしない
- 腕組み
- 背もたれにもたれて座る
- 目を合わせない
- 他社を批判する
精度の高い質問で、精度の高い見極めを!
評価基準に合わせた精度の高い質問と、さらに深い掘り下げで、回答の裏に隠れた本質を見極めていきましょう。企業にとっても応募者にとっても「的確な判断材料になる質問」が理想です。