クライアント様は、起業から数十年、売上高数千億円の規模でビジネス展開する独立系ITサービス会社様です。ICTコンサルティング、ソフトウェア開発、システム・インテグレーション、アウトソーシングサービスなどを行っています。数十年前といえば、まだコンピューター自体が珍しい時代。そんななか、電気やガス、水道のようなインフラシステムをITで支える社会の実現を目指し、たった十数人で始まった会社です。
今回は、全国の新卒入社3年目の社員向けフォローアップ研修ということでご依頼いただきました。
今回の研修は今後、会社の屋台骨となる人材への期待を込めて、組織の中で働くということを意識させるのが目的です。同社が2013年より掲げた中期経営計画の目的の1つが、人材育成。ちょうどその年に入社した新卒社員が3年目を迎えるタイミングでのフォローアップ研修実施というのは、クライアント様にとっても初の試みでした。
「4年目=独り立ち」とし、今後のキャリアプランを考えさせるとともに、「組織の中でどう働いていくか」もポイントに置いているということでした。
このフォローアップ研修を受ける参加者は、3年前の入社式で次の言葉を贈られています。「グローバル化の波に洗われる世界、厳しい環境だからこそ、情熱と挑戦の志を持って欲しい。創立50周年に向け、新たな発展を目指すにあたり、自ら困難に立ち向かうバイタリティを持って雄飛していきましょう!」
会社としては、新たなチャレンジへ挑む意志を持った集団に属して働くという意識付けをすることによって、より組織としての成長を強化していく狙いがあります。人材の成長が、会社の成長へとつながることを意識してもらうのも研修で目指すところでした。
フォローアップ研修の参加者は70名 。当初はメイン会場の200㎡をパーテーションで仕切り、2つに分割。さらに別階で分科会と3会場に分かれての研修のみでした。
しかし、今後の会社の成長、そしてそれを担う人材への期待を語り、「自分たちはこの研修を機会に独り立ちするんだ!」と気持ちを高めるシーンが絶対に必要だと感じたので、最後に一堂に会する全体会の実施を提案しました。懸念点は、3つの会場から、どのようにメイン会場にスムーズに収容するか。机やイスの転換、人の移動など、手間と時間的ロスです。
解決策として、あらかじめメイン会場に、別会場にいる参加者分のイスを用意しておくことにしました。こうすることで、メイン会場のレイアウトチェンジがスムーズにいきます。移動の時間を使って、メイン会場の参加者がそれをセッティング、全員がそろったら、すぐに全体会をスタートすることができるようにしました。
当初、クライアント様は、懇親会は単に飲食の提供程度で特別なプログラムは念頭にないようでした。ただ、せっかく3年ぶりに集まる機会です。先輩社員を呼んで未来の自分をイメージしやすくするようなプログラムを提案したところ、お客様も乗り気に。新人研修時代に作ったVTRを流して当時の気持ちを思い出すきっかけにしてもらうなどの趣向をこらしました。
さらに、卓割も工夫。新入社員研修のときと同じメンバーでテーブルにつけるようにしました。同じ意志を持った集団が時間を共有している空間、縦横のつながりを意識できる懇親会にすべく行った提案ですが、大好評。卓割の種明かしをすると、参加者も驚き、瞬く間に会場が一体感に包まれました。
事務局様は、メインとなる研修運営の準備に追われ、プラスで何かを実施することには当初、やや後ろ向きでした。しかし、ヒアリングや提案をしていくなかで信頼関係を構築し、事務局様とともにより良い研修の形をつくっていくことができました。
ヒアリングでうかがっていたポイントを押さえて、さまざまな提案を行いました。今後の人材への期待と組織の中で働くことを意識させたいというポイントから、全体会や懇親会の卓割などを提案。社員への会社の期待がより伝わり、横のつながりや一体感を意識できるものになりました。
当日になって会場の変更が余儀なくされるという事態が発生。講師の方が、パーテーションで区切っただけでは研修に不向き、別会場でそれぞれ集中できる環境をと要望されたからです。急きょ別会場を準備、研修は再開されました。
研修にはどんな環境が必要なのか、事前に深く考える必要性をあらためて思い知らされた出来事でしたが、クライアント様からは、事前の提案から当日の柔軟な対応に至るまで完全サポートできたことで、お褒めの言葉をいただくことができました。